勤務地 | 東京都千代田区 |
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施設 | 企業 |
募集科目 | 産業医 |
給与 | 1100~1500万円 (年収) |
業務内容 | ■生命保険会社の新契約の査定医(年間200件程)・首都圏近隣... |
近年、健診やレセプトなどの健康医療情報は平成20年の特定健診制度の導入やレセプトの電子化に伴いその電子的管理が進んでいます。これにより、従来は困難だった電子的に保有された健康医療情報を活用した分析が可能となってきました。データヘルスとは、医療保険者がこうした分析を行った上で行う、加入者の健康状態に即したより効果的・効率的な保健事業を指します。
日本における超高齢化社会化への変化は、職場にも少なからず影響を与えます。つまり、従業員の年齢構成は職場における生活習慣病のリスクを測るひとつの重要な指標であり、企業にとって従業員の健康づくりは重要な経営課題となっているのです。
このように社会環境が変化する一方で、保健事業がPDCAサイクルで実施しやすくなるようなインフラ整備が進んでいます。レセプトの電子化が進んだことに加え、保険者による健康情報の蓄積・活用が位置づけられ、また平成20年からスタートした特定健診制度においては健診データの電子的標準化が実現しました。すなわち全国どこで特定健診を受けても基本項目はすべて同じで、健診結果も全国で同じ様式で電子的に保険者に蓄積されることになりました。したがって、自健保組合の加入者の健康状況を経年推移で捉えたり、他の健保組合と比べてどのような特徴があるのかを知ることで、自健保組合の課題や対策を考えることが容易になりました。
超高齢化の進展に伴い、働き盛り世代からの健康づくりの重要性が高まる中、政府が金融政策、財政政策に続く“第3の矢”として発表した「日本再興戦略」で は、“国民の健康寿命の延伸”を重要な柱として掲げました。 この戦略の中では、健康寿命の延伸に関する問題点のひとつとして、「保険者は、健康管理や予防の必要性を認識しつつも、個人に対する動機付けの方策を十分に講じていない」ことが指摘されました。この課題を解決するため、「予防・健康 管理の推進に関する新たな仕組みづくり」として、「全ての健康保険組合に対し、レセプト等の データの分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として“データヘルス計画” の作成・公表、事業実施、評価等の取組を求めるとともに、市町村国保が同様の取組を行うことを推進する」ことを掲げました。また、個人の健康保持増進に対して、保険者、企業、自治体等がそれぞれの立場から一定の役割を果たすべきことがうたわれました。
政府の「日本再興戦略」を受け、平成26年3月に保健事業指針の一部が改正されました。これに基づきすべての健保組合は、健康・医療情報を活用してPDCAサイクルに沿った効果的かつ効率的な保健事業の実施を図るため、保健事業の実施計画(データヘルス計画)を策定し、実施することになりました。これからは、やみくもに事業を実施するのではなく、データを活用して科学的にアプローチすることで事業の実効性を高めていく。これがデータヘルス計画のねらいです。ただし、「データヘルス計画」は、“データ至上主義”のようなものでは決してありません。これまでの取組を振り返り、データを有効活用するものです。具体的には以下の通りです。
関係者の理解を得ながら着実に保健事業を進めるためには、被用者保険の持つ強みや特性を踏まえた事業運営を図ることが大切です。データヘルス計画の特徴として、次の4つがあります。
医療専門職、特に産業保健分野の貴重なエキスパートである産業医はこのデータヘルス計画において重要な役割を担うことが期待されています。
これまでは、健診データは各グループの事業所が管理しており、転勤などに際して過去のデータが引き継がれない、紙ベースのため時系列で検査値をチェックしにくいなどの問題がりましたが、これからは法定の定期健康診断や会社の補助金による人間ドック受診などで得た従業員の健康情報を、単一のデータベースに集約することが可能になります。
よって産業医は、このデータベースをもとに検査値の5~10年にわたる変化を確認し、社員に適切なアドバイスを行うことが可能になります。
また産業医は、特に「事業主との協同(コラボヘルス)」において健康課題の分析、計画の立案と実施、および施策の効果評価のそれぞれにおいて、健保組合と事業主と三者間で連携する必要があります。
日本再興戦略では健康寿命の延伸に関して「企業にとっても本来、社員の健康を維持することは人材の有効活用や保険料の抑制を通じ、会社の収益にも資するものであるが、こうした問題意識が経営者に浸透しているとは言い難い」と 企業側の問題点も挙げています。政府は成長戦略の更なる“進化”を図るため、「日本再興戦略」を公表し、“経営者等に対するインセンティブの 付与”を掲げました。ここでは、「経営者等に対するインセンティブとして以下のような取組を通じ、健康経営に取り組む企業が自らの取組を評価し、優れた企業が社会で評価される枠組み等を構築することにより健康投資の促進が図られるよう、関係省庁において年度内に所要の措置を講ずる」とされ、職場における健康増進の取組を社会として応援し、進める姿勢が明確に打ち出されました。これらを受けて、たとえば厚生労働省労働基準局では、保険者と連携した取組を含めて、安全や健康の取組を進める企業を評価し、公表する制度の検討に入っています。このような施策は、事業主による健康増進活動を促し、健保組合との協働を促す好機になると考えられます。
なお、経済産業省は、企業による健康投資を促進するため、企業・経営者向けに「健康投資」のポイントをまとめた『企業の「健康投資」ガイドブック』を策定・公表しました。このガイドブックでは、健康投資の基本的な考え方を示すととも に(図表1-4)、健康投資をより効果的・効率的に実施するため、データヘルス計画の策定・実施において、企業と健保組合等とが適切に連携していくことが重要であるとしています。